メニュー

うつ病

うつ病とは

気分が1日中落ち込んでいる、眠れない、食欲がない、何をしても楽しめないといったことが2週間以上たっても続く場合、うつ病の可能性があります。

特に「気が滅入る」「憂うつ」「うっとうしい」という抑うつ気分、「何もやる気が起こらない」「疲れやすい」「だるい」「おっくう」といった精神運動の抑制がうつ病の中心症状です。これら中心的な症状に、不眠や体調不良、心身に関連したいくつかの症状が継続的に続くことで、日常生活や会社などの社会生活に支障がみられます。

脳がうまく働かず、ネガティブなものの見方になり、自分に自信を無くしてしまいます。そのため普段なら乗り越えられるストレスも、よりつらく感じられるという悪循環がみられます。薬による治療とあわせて、認知行動療法などのアプローチも、うつ病に効果が高いことがわかってきました。早めに治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、前述の症状でお悩みの際は無理せず医療機関にご相談頂き、そしてゆっくり休養をとることが大切です。

なおうつ病では、精神的な症状よりも身体的な症状に悩み、内科などを受診されることも多いものです。そして検査で特に異常が見あたらなければ「ひとまず様子を見ましょう」と言われることが多いと思いますが、それでも一向によくならない場合はご相談頂いても良いかもしれません。

 

TOPIC(うつ病の診断に関して)

日本での疫学調査ではうつ病は一生のうち、100人中6人(男性3.8% 女性8.4%)がなるという報告があります。これは2型糖尿病などと同様に、ありふれた病気といえます。

近年、うつ病の増加が指摘されています。その背景には、うつ病についての認識が広がると共にメンタルクリニック受診への抵抗感も薄れて受診機会が増えたり、社会環境も複雑化し速くなったことでうつ状態となる人が増えた、またうつ病の診断基準の解釈が広がっている、など様々な理由が想定されています。

うつ病は気分の落ち込みなどの抑うつ状態を呈しているだけで診断することには注意が必要です。例えば、躁状態や軽躁状態を経験したことがある場合はうつ病でなく双極性障害(躁うつ病)の可能性があります。また統合失調症などほかの精神疾患が背景にあって、うつ状態はその症状のひとつという事もあります。何らかの抑うつ症状がずっと続いて慢性化している場合は,不安症や不眠、パニック障害、発達障害(ASDやADHDなど)、パーソナリティー障害などの疾患が併存している可能性もあります。またこれまで服用していた薬が関係していることもあります。

そのため、うつ病の診断には、うつ病のどのタイプなのか、他の精神疾患である可能性はないか、などを確認することまで含まれます。最近インターネットなどで使われているうつ病の診断基準はとてもわかりやすいものですが、本当にうつ病なのか、うつ病のどのタイプなのかについては慎重な判断を要します。
こういったことから、やはりきちんとした評価や診断のうえで、お薬は本当に必要な場合のみを心がける、という患者さん目線・患者さん本位でのアプローチが大切なのではないかと考えています。

うつ病の症状

アメリカ精神医学会の基準であるDSM-5に、うつ病の目安として、「次のような症状のうちいくつかが2週間以上ずっと続く」とあります。ひとつひとつの症状は誰もが感じるような気分ですが、それが一日中ほぼ絶え間なく感じられ続くことがポイントです。

 

  1. 気分が沈んでいる(抑うつ気分)ことが続く
    「ゆううつだ」「悲しい」「落ち込んでいる」「将来に何の望みもない」などと、思い悩んでいる状態です。ご本人が涙を流しているように見えるなど、言葉や表情、憔悴した雰囲気から、周りがわかる変化もあります。周りの人が「いつもと違う」こんな変化に気づいたら、もしかしたら本人はうつ状態で苦しんでいるのかもしれません。 なお気分の落ち込みは午前中が重いことが多く、午後から夕方にかけては症状が軽くなることがあります。
  2. 物事への興味や喜びを感じなくなる
    これまで楽しかったはずの物事に対し、関心や欲求が低下します。具体的には「人と話すのがおっくう」「何をしても面白く感じない」「いつも読んでいた新聞を読む気になれない」「TVを見ても楽しめない・感動しない」などの症状があります。
  3. 体重の増減、食欲の変化
    うつ病では食欲の低下が多くみられ、体重が減少します。逆に甘いものが欲しくなったり過食をされる方もおられます。
  4. 眠れない、また寝すぎる
    不眠もうつ病の症状として多くあげられます。特に、普段より早い早朝に目が覚め、そのあと眠れないこと「早朝覚醒」がよくみられます。人によっては反対に、夜の睡眠がのびたり、日中も寝てばかりとなります。
  5. 動きや話しが遅くなる、逆に落ち着きがなくなる
    体の動きが遅くなったり、口数が減り、声も小さくなったりします。また反対に、強い不安から落ち着きなく体を動かすこともあります(焦燥感)。
  6. 疲労感、気力の減退
    体を使っていないのに疲れが続くと感じることもあります。
  7. 強い罪責感、無価値感
    理由もなく過剰に自分を責めたり、些細なことを思い出してはくよくよ悩んでしまうことがあります。また必要のないことまで自分の責任と感じたり、「自分はいらない人間だ」と思うようになったりします。
  8. 集中力や思考力がない、物事を決められなくなる
    注意散漫、集中力が低下し、仕事や家事、勉強が思うようにできなくなったりします。また決断力も低下します。少しのことでも考え込んでしまうため、食事の買い出しにスーパーに行くも結局何も買えずに帰ってくる、などの行動がみられます。うつ病では責任感の強い方が多く、仕事や家事のできなさから、辞任や離婚などを考えてしまうことがあります。そういった時はまずは治療に専念し、物事を決めるのは先延ばしにするようなアドバイスが有効です。
  9. 死んでしまいたいという気持ち(自殺願望)
    気分の落ち込みに落ち詰められ、「万事休す」と感じてしまい、「いっそのこと死にたい」という気持ちが生じてしまうことがあります。うつ病で特に気をつけなければならない症状です。こういったお気持ちが繰り返し湧き、自殺したい気持ちが非常に強いときは、入院しての治療を必要とすることもあります。

その他、涙もろくなった、飲酒量が増えるといった周りから見えるサインや、頭痛や肩こり、胃の不快感、性欲の低下など、体に出るサインもあります。

うつ病の原因

うつ病の原因はまだ明確に解明されていませんが、ストレスや環境要因や遺伝要因などがうつ病発症の原因として考えられています。
生物学的な観点からは、モノアミン(ノルアドレナリン・アドレナリン・ドーパミン・セロトニン)などの神経伝達物質の減少によって症状が表れるとされる説があります。

うつ病の契機として、お仕事をされている方では過労やストレス・対人関係、主婦の方では引っ越し・子育て・介護疲れなどがあります。一方、昇進や転職など、結婚や転居など一見お目出たいような大きな環境変化でも契機となることがあります。

発達障害などが基礎疾患としてあり、問題の対処や解決の仕方がわからないなどのために、学校・職場に適応できず、うつ傾向になるなど個々人の要因もあります。

その他、うつ病は女性に多いのですが、これは女性ホルモンの増加・妊娠・出産など、女性に特有の危険因子や男女の社会的役割の格差などが関わっているの可能性も指摘されています。

また冬になると調子を崩す、生理前になると調子を崩してしまうタイプもあります。

うつ病の治療

うつ病の治療法は、大まかに①薬物療法、②精神療法・カウンセリング的アプローチ、③環境調整があります

  1. 薬物療法
    うつ病は脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンなど、気分や意欲に関係していると言われる物質のバランスを崩しているという説があり、これらを調整する抗うつ薬というお薬での治療です。また睡眠をとることは回復にはとても大切で、睡眠薬を使うこともあります。
    さまざまなタイプのお薬がありますが、どの薬が効くかは治療を受ける人一人ひとりで異なり、また同じ人でも病気がどの段階かによって違ってきます。近年では、副作用の少ない新しいうつ病の薬が開発されています。
    服薬を始めてすぐに効果が現れるわけではなく、まずは1週間から3週間を要します。症状の改善には月単位の治療が必要ですので、焦らずに治療に専念することが重要です。症状、環境が落ち着いてから、お薬はゆっくりと減薬、中止していきます。
    なお抗うつ薬は服薬を急に中断すると、退薬症状(めまい、ふらつき、しびれなど)が出現しますので、急激な中断はしないよう心がけて下さい。
    副作用など気になることがあれば、お気軽に医師にご相談下さい。
  2. 精神療法・カウンセリング的アプローチ
    まずはうつ病の治療には、休養が必要であること、休養を取ることに罪悪感を持たないようにすることの重要性をご理解して頂きます。うつ病の方の治療過程において、薬物療法と並行して、これら心理的なアプローチも適宜平行していきます。うつ病では自分を責めてばかりになったり、0か100か(白か黒か)といった極端な思考が生じることが多いため、「うつになりやすい考え方のクセ」について話し合いつつ改めてご本人が確認しながら、柔軟に現実に対応できるような認知変容を目指す認知行動療法など、様々なアプローチがあります。
  3. 環境調整
    もともと真面目で几帳面、責任感の強いタイプの方がうつ病になりやすい傾向にあるため、なかなか休養をとれない方もいらっしゃいます。しかしうつ病の治療において、休養はとても重要ですので、お仕事をされている方であれば、休みを取る・仕事量を減らす、主婦の方であれば、家族のサポートをお願いする・介護の負担を軽くするなどで、精神的なストレスと体の疲労をしっかりと減らす必要があります。そのため状況に応じて、職場の部署変更などの提案をさせて頂くこともございます。

自宅療養を要した場合の経過ですが、まず心身ともにゆっくりと休んで頂き、徐々に回復して近隣へのお散歩や軽いお出かけなどできるようになりましたら、出勤時間を想定して起きてみたり、電車に乗るなどして体を慣らしていきます。その後、会社の産業医などと相談しながら、時短勤務などの復職プログラムなどを利用して復職を目指していくことが一般的な流れです。
復帰後も「うつ」がぶり返さないように、職場・家庭・学校などの環境を整えておくことが大切です。

以上の①~③ような治療によって、多くの人は3ヶ月から半年ほどで回復し、元の生活に戻られます。
なおうつ病にもいろいろあって、治療法もひとつではないことを知っておくことが大切です。典型的なうつ病は薬物療法の効果が期待できますが、性格や環境の影響が強い場合は精神療法的アプローチや環境整備が有効です。他の病気や薬が原因の場合は病気の治療や薬の変更が必要です。休職も、休養が必要な場合とむしろ仕事を続けた方がいい場合もあってこの点でも方針はひとつではありません。
ご自分のうつ病と、ほかの人のうつ病は違うものであり、治療法も一人ひとり違い、オーダーメイド的な側面があることをご理解下さい。

ご家族の方へのアドバイス

うつ病となられたご本人はとてもつらいものですが、同時にご家族もご本人への関わり方がわからずつらい思いをされます。そこで最後に、ご本人への関わり方のアドバイスをさせて頂こうと思います。

うつ病の患者さんは“頑張りたくても頑張れない”状態です。脳の機能低下がもたらす症状で、気の持ちようで治るのは難しいといえます。強すぎる励ましの言葉や「怠けている」などの叱咤は逆効果で、「自分はダメだ」と悲観的に受け止めてしまいます。また悩み事の否定や説得、反論もますますご本人を落ち込ませてしまいます。そのため、まずは「病気への理解」から歩み出して頂き、焦らず、温かい目で見守りサポートしていくといったお気持ちと、目に見えない苦しみを持っていることへのご理解が、ご本人のつらさを和らげることにつながるでしょう。

うつ病では抑うつ状態から考えられなくなり決断力が低下することがあります。そのため、その状態では「仕事を辞めるかどうか」などの重要な決定は先延ばしするよう助言されると良いでしょう。
気分転換だからと外出や運動、旅行などは無理にすすめず、まずはゆっくり休んで頂き、回復してきたところでご本人さんが望むようなら考えていきましょう。

ご家族が心配されるのは自然なことです。何か相談したいことがございましたら、お気軽に医師までご相談下さい。

 

※うつ病かもとお困りの方はJR埼京線、北戸田駅前の心療内科・精神科・メンタルクリニック、北戸田駅前まつもとクリニックまでお気軽にご相談下さい。

戸田市・蕨市・さいたま市南区からアクセス良好で通院がしやすい場所にあります。また外環下の国道298号から近く、17号バイパスも比較的近いので、川口市や桜区の方のお車移動も便利です。

参考文献:
DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院)
カプラン臨床精神医学テキスト(メディカルサイエンスインターナショナル)

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME