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注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動性障害(症) ADHDとは

adhd注意欠如・多動性障害(症)ADHD(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)は、「うっかりミスが多い」、「忘れ物が多い」、「課題が間にあわない」、などの「不注意」症状と、「じっとしていられない」、「待つのが苦手」、「落ち着かない」などの「多動性・衝動性」症状がみられる発達障害(神経発達症)の一つです。

こうした行動は多かれ少なかれ誰にでもあるものですが、こういった症状により、幼少時に日常の生活活動(学習・家庭生活・友人関係など)に困難があり、それが持続している場合におとなのADHDと診断されます。

従来はADHDは子ども特有の障害ととらえられていましたが、症状が成人期も続く患者さんがいることがわかり、アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5(2013年)で、初めて大人の(17歳以上の)ADHDについて定義がされました。
「不注意か多動性・衝動性(または両方)の症状が半年以上続き、その症状のいくつかは12歳以前からみられ、家庭や学校など2つ以上の状況で認められ、それにより社会生活に支障をきたしている」というものです。
なおこのDSM-5では、ADHDは自閉症スペクトラム症(社会的コミュニケーションやこだわりの問題)などとともに「神経発達症・神経発達障害群」に分類されています。

ADHDは、不注意優勢型、多動・衝動性優勢型、混合型に分けられますが、不注意優勢型は問題が目立ちにくいため見過ごされやすく、その結果、成長して社会に出るとご自身でスケジュールやタスクを把握し、ミスなく確実に遂行する能力が求められることなどでADHDの不注意症状が顕在化するようです。また職場、結婚、出産などで、子ども時代よりも周囲との調和が強く求められる環境下で、自分の処理能力に無理をきたし問題となるようです。

頻度としては、DSM-5によると、ほとんどの文化圏で子供の約5%、成人の約2.5%、男:女比では子供で2 : 1、成人で1.6 : 1とされています。
前述した自閉スペクトラム症や限局性学習症(読み、書き、算数能力の問題)など、その他の神経発達症の症状が併存する場合があります。

また周囲に理解がなければ、その症状を「怠けている」「やる気がない」「能力がない」と誤解した評価をされ、過度な叱責や自尊心の低下につながることがあります。これらが不安やうつなどの「二次障害」につながったり、反抗や非行、なかには反社会的行動がみられることもあるようです。

一方、ADHD傾向のある人で、多動性・衝動性が「高い活動性、積極性、優れた決断力」と認められたり、好きなことや興味関心のあることへの過集中といった傾向が、うまくいかされ社会の中で活躍している人もおり、そのような場合はADHDとは診断されません。

近年、メディアでもクローズアップされるようになってきたことから、ご自身でADHDを疑って受診されるおとなが日本でも増えています。ただ、大人になってからのADHD診断は非常に難しいことが知られています(下記のTOPICをご参照ください)

治療としては上記のようなADHDの問題となる部分が軽減できるように、またADHDの良い面が引き出せることを目指します。言い換えれば、ADHDの診断はサポートを受けるための第一歩で、ご自身の特性を理解し生活を見直すことで悪循環から抜け出し、ご自身の個性に光をあてていくことができるようになることが目標です。そのためにも、薬物療法だけでなく、支援や、心理社会的治療を組み合わせることが重要です。

※なお、当院では中学生(15歳)以下の年齢の患者さんは、より専門的な医療機関を紹介させて頂くことがございますのでご了承下さい。

TOPIC:ADHDの診断について

ADHDの診断には、日常生活での不注意・多動性・衝動性に関する詳細なエピソードや、それによる生活障害の細かな聞き取りが必要です。

初めて受診する時には、日頃の行動や様子を具体的に記録したメモや書面を持参されることをお勧めします。その際、子どもの頃の印象を家族に聞いておくとよいでしょう。

ADHDは12歳以前に症状があることが診断の基準となりますので、大人の患者さんの診断には、幼少期のエピソードの検討が必要です。そのため、客観的な資料として、小学校の通知表や、母子手帳や幼稚園の連絡ノートなど、幼少期の様子がわかる資料を参考にすることがあります。

なお他の疾患との鑑別も必要です。子どもの多動性や衝動性は、心理的な反抗心の現れのこともあります。また不注意がてんかんや、知的な問題でおきることもあります。おとなのADHDでは、うつ病などの気分障害、不安障害、強迫性障害、アルコール・薬物の依存症などが合併しやすいといわれています。これら合併症の治療のために精神科を受診し、治療の経過でADHDが明らかになることもあり、慎重な判断を要します。

注意欠如・多動性障害(症) ADHDの症状

ADHDの症状は、不注意と多動性・衝動性に分けられます。ADHDは小児期からの病気で、成人するにつれて衝動性が減り、不注意が優勢になってきます。

不注意

<子ども>

  •  テストなどでうっかりミスが多い
  •  授業中、気が散りやすくぼーっとしている。落書きをしたり、居眠りしたりが目立つ。
  •  宿題を先延ばしにし、間に合わない。
  •  落とし物、失くし物、忘れ物が多い
  •  かたづけが苦手。机の中がぐちゃぐちゃ。
  •  親や先生から言われたことをすぐ忘れる
  •  遅刻が多い

<おとな>

  • 仕事や家事で不注意ミスが多い。ミスを繰り返す。
  • 仕事や作業に集中できない。
  • うわの空といわれることがある、会議中寝てしまう
  • 仕事や家事の、優先順位を考え計画を立てるのが苦手
  • 整理整頓が苦手。机に物を積み上げる
  • 頭の中やスケジュール・タスクを整理できない、順序だてて行えない
  • 締め切りをなかなか守ることができない
  • 約束を忘れる。遅刻が多い
  • 落とし物、失くし物、忘れ物が多い

多動性および衝動性

<子ども>

  • 授業中落ち着かない。席を立つ、座っていても落ち着かない
  • ひどく走り回ったりよじ登ったりと動きが多い。じっとしていない。
  • 遊びの時さわぎすぎる。しゃべりすぎる。
  • 他自の勉強や遊びの邪魔をする。
  • 列に並んだり、ゲームなどの順番を待ったりするのが苦手
  • 突発的な動きや発言が多い

<おとな>

  • いつも落ち着かない感じを与える
  • からだを動かしていることがおおい、体を小刻みに揺らす(貧乏ゆすりなど)
  • 順番待ちや交通渋滞など、待つことが苦手
  • 静かにすることが苦手
  • 熟慮せずに発言するまたは行動する。
  • 衝動的に動いてしまう(衝動買い、独断で重要事項を決めてしまう)
  • 失言をしてしまう

その他、ADHDでみられることがあるその他の症状として「気分の変動が激しい(1日のなかで瞬間的に気分が変わる)」「過度に集中してしまう」などがあります。

注意欠如・多動性障害(症) ADHDの原因

現在のところ、ADHDの病態は多様な認知機能や衝動統制機能にわたる生まれつきの脳機能障害であると理解されています。特に有力視されているのは「実行機能」に関わる障害と、「報酬系機能」に関わる障害です。
ワーキングメモリー機能を含む「実行機能」は、環境からの刺激に対応した思考や行動を目的にあわせて組み立てる機能のことで、前頭前野が関与しているとされます。
一方、前頭眼窩野や前帯状回が関与するとされる「報酬系機能」とは、快感を得る行動の遂行と、その行動の発動抑制に関わる機能のことです。その障害は待てなさを中心とする衝動性の高さとしてあらわれます。
また、脳の神経伝達物質であるドパミンやノルアドレナリンの働きがADHDの方では不足気味であることも指摘されています。

注意欠如・多動性障害(症) ADHDの治療

大人になって初めて診断をうけて治療を開始する場合、環境調整などの心理社会的治療と、薬物療法があります。
ADHDの治療で大切なことは、自分の特性(苦手なこと)を理解して、対処方法を身に着けていくこと。そして、家族や職場に理解を求めて、サポーターを得ることです。
治療の目標は、これらを通して、職場や学校、家庭での悪循環が好転し、自信を取り戻し、充実した社会生活がすごせるようになることです。ADHDの特性である不注意、多動性、衝動性をなくすことだけが治療の目標ではありません。

まず環境調整・支援・精神療法を行い、その後薬物療法を検討していきます。こどものADHDの場合は特に、症状を持つ児童への接し方を親が学ぶ「ペアレント・トレーニング」の考え方が重要となりますが、おとなの場合は下記のような環境調整と同時に、適宜認知行動療法やコーチング、ソーシャルスキルトレーニングなどを行う場合もあります。また、二次障害の治療が必要となる場合があり、まずは二次障害をターゲットとして治療を行う場合もあります。

薬物治療

ADHDでは神経伝達物質であるノルアドレナリンやドパミンが不足して、情報伝達が十分に行えないため、ADHD症状があらわれるといわれています。お薬は、ノルアドレナリンやドパミンの不足を改善し、これにより情報伝達がスムーズに行われるようになり、ADHD症状を改善すると考えられています。

心理社会的治療

環境調整・支援・精神療法などがあります。

環境調整は、ADHDの方が集中して仕事や勉強などに取り組めるように周囲の環境を整えることを指します。たとえば「ポスターや掲示物など、集中できなくなる要素を目の前からなくす」「指示は簡潔に少しずつ出してもらう」「スマホのアラームを利用して予定を忘れないようにする」などの工夫でADHDの特性をカバーすることです。現在は玉石混交ではありますが、多くの工夫が本やインターネットに載っていますので、信頼できる発信源の情報を参考にするのも良いでしょう。

支援としては、ご本人さんは「自己不全感」や「疎外感」に悩まれていることが多いため、まわりの人がADHDについて理解し、サポーターになってあげることはとても大切です。またご本人自ら、ご自分をサポートするネットワークを作っていくことも有用です。安心できる居場所や、充実した仕事・趣味は、社会生活では大切です。医療機関や、地域の生活支援、就労支援事業など、社会資源をうまく活用されると良いでしょう。また自助グループ、当事者の会などを利用される方もいます。

※上記でお困りの方は、JR埼京線、北戸田駅前の心療内科・精神科・メンタルクリニック、北戸田駅前まつもとクリニックまでお気軽にご相談下さい。
戸田市・蕨市・さいたま市南区からアクセス良好で通院がしやすい場所にあります。

参考文献
DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院)
カプラン臨床精神医学テキスト(メディカルサイエンスインターナショナル)

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