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自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症(障害) ASDとは

jihei自閉スペクトラム症(ASD: Autism Spectrum Disorder)は、国際的な診断基準ICD-10における広汎性発達障害(PDD)とほぼ同じ群を指しています。自閉症やアスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害が含まれ、2013年に改訂されたアメリカ精神医学会の診断基準DSM-5で自閉スペクトラム症(ASD)にまとめられました。スペクトラムとは「連続体」の意味で、従来の典型的なものに当てはまらなくても一部特徴がみられる、いわゆるグレーゾーンの方も捉えやすくなったものです。

自閉スペクトラム症の大きな2つの特徴は「社会的なコミュニケーションや他の人とのやりとりが上手く出来ない」、「興味や活動がかたよる、こだわりがある」とういものです。前者のみの場合は社会的コミュニケーション症といいます。単に対人関係の障害やこだわりの特性が強いだけではなく、これらのために社会生活に大きな支障をきたしている状態です

親御さんの育て方が原因ではなく、感情や認知などに関与する脳の異常だと現在は考えられており、問診や心理検査などを通して診断されます。

自閉スペクトラム症の方は、最近では約100人に1〜2人存在すると報告されており、男性は女性より数倍多いといわれています。

極端にマイペースで、場の雰囲気がよめず、暗黙の了解などの理解が難しく、ご自身のペースで行動する傾向があります。子供の頃から「変わっている」「わがまま」「身勝手」ということで、その特性が片付けられ、大人になるまで気づかれず、つらい思いを重ねることがあります。一方、子どもの頃に診断を受け、周囲からの理解を受けて成長した方の中には、成長とともに症状が目立たなくなる方や、能力のでこぼこをうまく活用して社会で活躍する人もいます。

なお思春期や青年期になり、対人関係がうまくいかなかったり、自分と他の人との違いに気づいたりして「不安症状」や「うつ症状」などのいわゆる二次障害がみられる場合があります。また就職後、職場での対人関係や、仕事が臨機応変にこなせないことに悩み、自ら障害ではないかと疑い、はじめて診察を受け自閉スペクトラム症だとわかる方もいらっしゃいます。

まずは周囲の方々の自閉スペクトラム症の特性へのご理解が必要です。幼少期には療育活動への参加、就学後は個別支援、成人では本人のストレス軽減のための環境調整やソーシャルスキルトレーニング等による対人関係スキルの獲得を通じて、本人の状態改善を目指します。
またイライラが強すぎて日常生活に影響がでている場合や、二次障害としての精神症状に薬物療法を行うことがあります。

※なお、当院では中学生(15歳)以下の年齢の患者様は、専門的な医療機関を紹介させて頂くことがございますのでご了承下さい。

自閉スペクトラム症(障害) ASDの症状

症状には軽度から重度まで幅がありますが、多くの自閉スペクトラム症の患者さんは、下記①②の2つの領域で、ある程度の支援を要します。学校や社会でやっていく力には大きな個人差があり、支援の必要性も個人により大幅に異なります。

  1. 社会的コミュニケーション・対人的相互反応の障害
    同年代の他者と相互的な交流を行うことが困難で、対人場面におけるコミュニケーションが独特なものです。コミュニケーションには、表出(話すことや表情・仕草などで表現する)と理解(聞くことや相手の表情や仕草をみる)がありますが、それらが円滑にいきません。
    例)
    • 人の気持ちを理解するのが苦手
    • 他人への関心が乏しい
    • 集団行動が苦手
    • 人との関わり方が一方的
    • 会話が成り立ちにくい
    • 人の表情や場の空気を読むことができない
    • 視線があいにくく表情が乏しい
    • 紋切り型の口調
    • 冗談が通じない
    • 会議などの場で空気を読まずに発言してしまい、ひんしゅくを買う
  2. 限定された反復的な行動・興味・活動
    自閉スペクトラム症の方は変化が苦手です。例えば、部屋の模様替え、衣服の変化、新しい食べものやおもちゃなどを非常に嫌います。また特定の対象(生き物以外)にこだわりを示すことがあります。繰り返して物事を行うことがよくあります。

    子どもの例)

    • おもちゃを並べる
    • タイヤや扇風機など回転するものが好き
    • 一人での遊びに没頭する。
    • 切り替えが苦手
    • 道順や風呂食事などの順番が決まったパターンと違うとかんしゃくを起こす

    おとなの例)

    • 予想していないことが起きると何も考えられなくなり、パニックを起こす
    • 自分なりのやり方やルールにこだわる
    • 細部にとらわれてしまい、最後まで物事を遂行することが出来ない

その他の症状:

  • うるさい場所だとイライラしやすい、洋服のタグはチクチクするから切ってしまう、といった感覚の偏り(敏感さだけでなく鈍感さもあります)
  • 過去の嫌な場面のことを再体験してイライラしやすい
  • 言葉の発達の障害
  • 学習や仕事に関わる情報処理の特徴
  • 手先が不器用
  • 知的能力障害
  • 易刺激性
  • 早熟の才能
  • パニック(混乱)

自閉スペクトラム症(障害) ASDの原因

自閉スペクトラム症は生まれつきの脳機能の発達の凸凹ととらえられていますが、原因については、現在、遺伝の要素が大きく関わっていると考えられています。親御さんの情緒的な問題や、子育ての方法は自閉スペクトラム症の発症と関係がありません。

自閉スペクトラム症を含む発達障害は、発達障害そのものが伝わるというよりは、発達障害の要因となる発達特性が別々に伝わるものと考えられています。伝わる特性もあれば伝わらない特性もあり、その伝わりやすさや強さも様々です。ですので自閉スペクトラム症の特徴の現れ方は人により異なります。

発達障害の特徴の一つひとつは、実際それは誰にでも多少はあるような特徴です。これが複数組み合わさって、学校生活や仕事など、ご本人さんの社会的状況や時代に合わなくなると、特性による問題がおきやすくなります。そしてそれによる生活障害やつらさの程度が大きい場合に発達障害と判断されます。その点からも社会全体から支援していくべき問題といえます。

自閉スペクトラム症を含む発達障害は、検査だけで診断をすることは難しく、ご本人や周囲への聞き取り、行動の状況確認、症状や生活への支障の程度を検討し、一定の診断基準にもとづき診断を行っていきます。

自閉スペクトラム症(障害) ASDの治療

自閉スペクトラム症ASDの治療の原則は「①ASD固有の中核症状に対する療育やリハビリテーション」、「②生活場面の環境調整」、「③合併している精神症状(うつや不安など)の治療や予防」となります。
個人差が大きいので生活全般にわたる状況の確認と、ご本人さんのニーズを聞かせて頂いたうえで、患者さんお一人ひとりに合わせた治療を検討していきます。

  1. ASD固有の中核症状に対する療育やリハビリテーション

    <子ども>
    療育はコミュニケーションの発達を促し、こだわりを軽くすることに有効といわれています。個別や小さな集団での療育や親御さんのサポートなどのプログラムがあります。療育の経験はあたらしい場面への不安を減らすことや、様々な活動や集団への参加意欲を高めます。

    <おとな>
    年齢相応に求められる社会的常識が得意ではないことが、対人トラブルの主な原因と考えられ、小集団での活動を通して能力の向上や肯定的な成功体験を得ます。そしてそれらを通し集団参加への意欲向上を期待します。成人対象の認知リハビリテーションやソーシャルスキル訓練を行っている施設は少ないですが、地域の発達障害者支援センターが、自閉スペクトラム症の方を対象にしたグループ活動を行っていることがあります。

  2. 生活場面の環境調整

    <こども>
    日常生活の場面で注意をそらす不要な刺激を減らすことは有効です。また言葉によるコミュニケーションに頼りすぎず、視覚的な手がかりを増やすといった環境面の工夫は、場面の理解や予測を助け、情緒の安定化に役立ち、パニックが少なくなることが期待できます。

    <おとな>
    療養などで、普段の生活習慣が変わることは新たな混乱の原因となることがあります。そのため療養する際は漫然と「ゆっくり休む」というよりは、余暇や家事、軽い運動などを医療者と検討してある程度日課として持ってみるのも有効です。

  3. 合併している精神症状の治療や予防

    <こども>
    まず環境調整を試みます。症状がつよい場合には薬物療法や認知行動療法を組み合わせます。

    <おとな>
    様々な症状に対して、対症的な薬物療法や精神療法を行われますが、その際にASDの特性に合ったものが肝要です。認知行動療法の合理性が受け入れられやすいことも指摘されています。

★また近年はネット環境の進歩により有用な情報が得やすくなっており、信頼のおける発信源の情報を利用していくこともとても有用です。
例)発達障害情報・支援センターサイト

※上記でお困りの方は、JR埼京線、北戸田駅前の心療内科・精神科・メンタルクリニック、北戸田駅前まつもとクリニックまでお気軽にご相談下さい。
戸田市・蕨市・さいたま市南区からアクセス良好で通院がしやすい場所にあります。

参考文献
DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院
カプラン臨床精神医学テキスト(メディカルサイエンスインターナショナル)
発達障害情報・支援センターサイト(http://www.rehab.go.jp/ddis/)

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